新たな選択肢の一つとなりうるのか「WHEELTOP EDS」発表

電動コンポーネントと言ったら何を思い浮かべるだろうか?

王道の SHIMANO DI2、SRAM ETAP、Campagnolo EPSの3つを思い浮かべる人が多いと思います。

実際、自転車の電動変速機の市場はほとんどこの3社に独占されているような状態で、世界最高峰のロードレース大会「グランツール」を見ても独占状態は明らかですね。

ところが数日前。コーダーブルームやネスト、マルキン自転車で知られる日本の老舗自転車メーカーの「ホダカ」が、とある電動コンポーネントの電動コンポーネントの日本国内代理店として取り扱いを開始すると発表。「WheelTop EDS」です。3年くらい前に軽く話題になった記憶がありますが、今回は日本へ本格的に上陸してくるということになります。

SHIMANOの部品不足があって多くのメーカーでMicroshiftの変速機が完成車に付属されるようになったり、元SRAMの技術者が立ち上げたとされるSENSAHが参入してきたりと最近は目新しい変速機がよく出てきますね。

WHEELTOPについて

この「WheelTop」というメーカー

70年以上前から変速機を製造してきた訳ですから、当然変速機を作るためのノウハウは備わっていると考えていいでしょう。

電動コンポーネントとしてはかなり価格が抑えられている印象ですので、初めは「変速性能が悪いのではないか」「すぐ壊れてしまうのではないか」と疑ってしまうところです。

しかし、私としては信用できるメーカーなのではないかと考えています。

特に、国内代理店が日本の会社である「ホダカ」という点。国内に正規の代理店があるというのはとても心強いです。

初期不良なんかがあった時の対応はしっかりしてくれるのではないかと考えます。

コーダーブルームやネストの完成車に「WheelTop」の電動コンポーネントが搭載されて販売、なんてことも出てくるかもしれません。

そうなれば、元々安価でコスパの良いメーカーだったコーダーブルームやネストから更にお得な完成車が出てくるかもしれませんね。

さて、今回はそんな「WheelTop EDS」についてです。

WHEEL TOP EDS

hodaka 公式ホームページより引用 http://hodaka-bicycles.jp/wheeltop-eds-launch/

製品情報を表にまとめてみました。

クランクやチェーンなどは同時に発売されないようですが、SHIMANO/SRAM互換で間違いないです。

2024年1月16日(火)に行われた関係者向けの合同パーツ展示会では、SHIMANOのパーツと組み合わされていました。

「 WheelTop EDS OX &TX まとめ表」

モデル名型番価格特徴仕様内容物重量
EDS OX記載無し¥81,400・7〜13速対応
・3種のケージサイズ
・ショートストロークスイッチ
・ショートケージ
・ミドルケージ
・ロングケージ
・シフター
・リアディレイラー
・充電ケーブル
SS:445g
GS:450g
SGS:465g
EDS TXTX-RA6100¥102,300・2×7〜13速対応
・レース、カジュアルの変速スピードモード
・油圧orワイヤーブレーキ対応
・アルミレバーorカーボンレバー
・ブリフター
・リアディレイラー
・フロントディレイラー
・充電ケーブル
不明
TX-RA6000¥110,000885g
TX-RA7100¥121,000・ブリフター
・リアディレイラー
・フロントディレイラー
・ブレーキキャリパー
・充電ケーブル
1411g
TX-RA7000¥128,7001352g
ブリフターとは、デュアルコントロールレバーのこと。SHIMANOで言うところのSTIレバーです。

重量やリペアパーツについての記載や、互換性についてはまだ公開されていないようです。

追記:重量についての情報が公開されました。表に追記しています。

価格に関して、海外で販売されているモデルと比較すると全体的に3〜4万円高額になっているとのことでした。そもそもがかなりお安いのですね。

しかし、これらはクランクなどを除いた変速機のみの金額です。その他に必要なパーツを購入したら安く見積もっても現行R7100系105よりも高額になることが予想できます。

個人的には、フルワイヤレス化を望んでいるわけでないのなら現行のR7100系Di2を購入した方が無難なのではないかと考えています。

日本国内での発売開始は2024年4月を予定しているとのこと

このコンポーネントの最大のメリットはやはり対応している変速段数が幅広いところかと思います。

電動だからこそできる技ですね。ワイヤー引きの変速機だと引き量の関係で複数の変速段数に対応させることは困難です。

8速のClarisを電動化することもできれば、チェーンやスプロケットさえ変えればレバーや変速機を交換せずとも12速や13速に対応できるという点かと思います。

バッテリーは取り外しができず、専用ケーブルを直接ディレイラーに接続して充電できるとのことです。この点はSHIMANOに近い扱い方になりますね。しかし、バッテリーが取り外せないという点は飛行機輪行に影響があるので一部のユーザーに影響がありそうです。

各モデル、レバーはボタン電池の「CR2032」だそうです。パワーメーターやケイデンスセンサーと同じなのでありがたいです。

また、情報によると充電ケーブルの付属は1本とのことで、モデルによっては買い足す必要が出てくる可能性があります。

防水性能についても表記がありました。

レバーはIP57、ディレイラーはIP67。防水性能は8等級ほどではないので過信は禁物ですが通常使用には問題ないでしょう。十分です。

左レバーは1ボタン式、右レバーは2ボタン式ということで、この点はDi2とEtapを合体したような感じですね。

個人的には

・充電ケーブルやディレイラーなどを単体で購入することができるのか

・「EDS TX」の油圧ブレーキはミネラルオイルかDOTオイルなのか

 追記:構造的にはSRAMに近いとのことで、SHIMANOのブレーキを取り付けることは難しそうです。しかし、ブレーキパッドに関してはSHIMANO互換とのことでした。

・「EDS OX」に関してはプーリーケージのみの販売があるのか

が気になりました。

WHEELTOPのOEM生産について

ホダカのホームページによると「WheelTop」は1951年設立のドライブトレインメーカーで、クランクやディレイラースプロケのOEM生産を行なっているメーカーとのこと。

また、ホダカのホームページには「過去30年にわたって数多くの自転車メーカーに採用された実績を持つ世界的な企業」との記載があります。

あくまで推測に過ぎませんが、大手メーカーからも販売されている低価格帯のクロスバイク、マウンテンバイクについているロゴがない謎のクランク。あれを製造しているメーカーなのではないでしょうか。あとは軽快車についているパーツを製造しているとか・・・?

この辺の話はあまり詳しくないので間違いがありましたらご指摘いただけますと幸いです。

OEM生産とは

「WHEELTOP」は超簡単にいうと「工場を他社メーカーに貸す」、ということです。

有名どころでいうと、SPECIALIZEDの自転車はMERIDAの工場が作っている、なんてのもOEM生産です。(この場合は株の話もありますし少し例外的かもしれませんが)

MERIDAの自転車がSPECIALIZEDよりも安価なものが多いのは、単純に委託料などの販売に至るまでにかかるコストの違いから生まれているということです。勿論ブランド料や設計・開発にかかる費用面などの差もあるかと思いますが。

そのため、自社で工場を持っているメーカーは価格が安い事がほとんどです。GIANTなんかもそうですね。最近話題の新興フレームメーカーYOEREOもOEM生産を行っていた会社から立ち上がったブランド、とのことです。

つまり、この「WheelTop」というメーカーは昔から工場を持っていて、どこかのブランドのクランクやらディレイラーやらを生産していたということです。

自転車業界はOEM生産がかなり盛んですので、ヨーロッパやアメリカブランドを謳っているあの有名メーカーも実は工場を持っていなくてOEM生産、なんてことはザラにあります。自転車業界は市場が小さいので工場を持てる会社なんて限られているという訳です。

そして、その工場の大半は中国か台湾にあります。

まとめ

・発売時期は2024年4月を予定

・日本の自転車メーカ「ホダカ」が代理店

・安い(比較対象は同じくフルワイヤレスのSRAM)

・幅広い変速弾数に対応するディレイラー

・WheelTopは変速関連のOEM生産を行なっていた老舗

情報がまだ少ない!!

と言ったところでしょうか。誤った情報などあればご指摘いただけますと幸いです。

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